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2007年02月22日

ハーレーのエンジン部品の基礎

ハーレーダビッドソンンのエンジン特徴と部品を紹介しよう。

ハーレーダビッドソンンのエンジンの特徴はOH∨という、今はほとんど採用されていない古い方式だ。
空冷4ストロークであること、そしてもちろん∨ツインであることもある。
なぜハーレーダビッドソンは古い方式をいまだに採用しているのか。

エンジンの性能というのは、いかにガソリンと空気を取り込み、それを効率よく力に変換するかってことにかかっている。
それを実現するために、他の多くのオートバイは、OHC化、さらにDOHC化してエンジンを高回転までスムーズに回るようにすることで力を出すようにしていった。
これに対し、ハーレーダビッドソンはそういった方法を取らずに、排気量を上げることでフォローしていったのだ。

低回転型の大排気量の∨ツインというエンジンを追求していった結果だから、ハーレーダビッドソンのエンジンには低速からの図太いトルク感が生まれるのだ。


シリンダー
ビストンが上下する筒のこと。
ハーレーダビッドソンは空冷なので、風に当たる面積を増やすため外側には大きなフィンがある。

ブッシュ・ロッド
カムの動きをロッカーアーム、パルフに伝える棒。
シリンター1つに対してバルフの数分、つまり2本ある。
タペットシリンダーは熱によって膨張するが、そのために生じるプッシュ・ロッドとカムとのすき間を調整する装置。

カム・シャフト
楕円形のカムが付いておいてシャフトが回転することで、プッシュ・ロッドを上下させる。

ロッカー・アーム
プツシュロッドの動きと運量しており、バルプを上下に動かして開開させる。

バルブ
シリンターに混合気を送り込み、また爆発した後の排気を排出するための弁。

ピストン
シリンダー内で上下し、混合気を圧縮し、爆発によって押し下げられることでクランクシャフトを回転させる。

コンロッド
ピストンとクランク・シャフトを連結し、ピストンの上下運動をクランクシャフトに伝える。
フライ・ホイールとクランク・シャフトハーレーダビッドソンは、クランク自体がフライホイールの役目を果たしている。
フライ・ホイールは、はずみ車。
振動を軽減するとともに、回転力の一部をためておいて、爆発と爆発の間の回転を補助する。
クランクは名前のようにクランクになっており、コンロッドを通じて伝えられたビストンの上下運動を回転運動に変換する。

ハーレーの馬力とトルク。違いをしっかり知っているか?

ハーレーダビッドソンのスペック表にもある、馬力とトルクの意味はご存知だろうか。
トルクはクランクシャフトが回ろうとする力そのもののことだ。
馬力は、このトルクを利用して一定時間中に行う仕事量のことを指す。

ピストンが一番下がった時のビストント面の位置を下死点、一番上がった時の位置を上死点という。
上死点から下死点までの長さ、つまリビストンが動く距離を「ストローク」と呼ぶ。

排気量は、エンジンが混合気を一度に吸い込むことのできる体積のことだ。
ストローク×シリンダーの断面積=排気量になる。

シリンダーの内径を「ボア」と呼び、ボアに対するストロークの比率をボア・ストローク比という。
ストロークに対してボアが短いものをショート・ストローク、長いものを回ング・ストローク、ボアとストロークが等しいものをスクエア・ストロークと呼ぶ。
一般的にショート・ストロークは高回転・馬力型、ロング・ストロークはトリレク型のエンジン特性になる。
ハーレーダビッドソンンのエンジンは、ロングストロークのエンジンだ。

トルクとは、クランク・シャフトが回ろうとする力、つまり、1回1回の爆発の強さだ。
これに対し馬カ(パワー、出力)とは、一定時間中にエンジンが行う仕事の量を指す。
つまり、仮にハーレーダビッドソンのバイクのクランクが10のトルクで1回転する間に、国産のバイクのクランクが1のトルクで10回転したとしたら、両者の馬力は同じになる。

ハーレーダビッドソンのエンジンは、ボアよりもストロークが長いロング・ストロークなので、あまり回転数が上がらない代わりに1回の爆発ごとに発生する力が大きいトルク重視型。
低中速、つまりアイドリング時からスロットルをそれほど開いていなくて、エンジンの回転数が低い時でも、ハーレーダビッドソンはぐいぐいと押し出すような加速感洲味わえる。
これが低中速のトルク感で、ハーレーダビッドソンの最大の魅力だ。
一方、馬力重視型のエンジンでは、回転数が低い状態での加速感は乏しいが、スロットルを開けて回転数が上がると大きな加速を生む。
低速時と高速時の落差が激しいものは、俗に「ピーキー」なエンジンと表現される。
エンジン回転数は1分間にクランク・シャフト何回転するかを示す数値で、単位はrpmである。

ハーレーダビッドソンは2気筒だから排気量を増やすと、1気筒当たりのストローク、つまりピストンが上下する距離が相当長くなる。
するとテコの原理でクランクシャフトを回す力(トルク)が大きくなる。
回転数は上げにくいが、代わりに、下からのトルクが出るのだ。

ストロークが長いと、大きな上下のバイブレーションが発生するが、ハーレーダビッドソンは重いフライホイールを用いることによって、一発一発の強い回転脈動を低く安定させている。
だからあの低速からの力強さと安定感かぜあるのだ。

ハーレーダビッドソンのカタログには馬力が載っていない。
多気筒の国産車などは、一発の回転力が小さい代わりに、たくさん回すことで量を稼いでいる。
2気筒では考えられないくらいの高回転まで回すことができるから、最終的な馬力、つまり最高速度はその方が出る。
トルクのあるバイクは、最高速度は馬力型のバイクに劣るものの、押し出すような力強い加速感が味わえるのが魅力だ。
ハーレーダビッドソンは最高速度を目的としたバイクではない。空気抵抗の大きいスタイリングも同様だ。
だからハーレーダビッドソンンのバイクに対して、出力をとやかく言うのはナンセンスなのだ。

ハーレーダビッドソンンのエンジンの魅力は、ロングストロークのエンジンだということばかりではない。
ハーレーダビッドソンのエンジンは、二つのシリンダーを進行方向に対して縦に並べている。
シリンダーとシリンダーの間の角度が45度に開いたVツインだ。
そして二つのビストンが1本のクランクシャフトを共有している。

このハーレーダビッドソンのエンジンのレイアウトは、同じ大排気量の2気筒でもBMWの様な水平対向もあれば、昔のトライアンフのような並列型もある。

ハーレーダビッドソンの∨ツインは、超巨大な単気筒を二つに分けているようなものだ。
前後のビストンにかかる爆発力が1本のクランクシャフトに伝えられる、1回1回の回転が伝わりまるで波のような加速フィーリングが生まれる。
国産の∨ツインなどでは、エンジンをスムーズに回すためにクランクシャフトを各シリンダーに配置ているものもあるが、それではハーレーダビッドソンのようなフィーリングは生まれてこない。
大排気量のVツインを選択した結果、ハーレーダビッドソンにはこうしたフィーリングが意図したわけではないのにたまたま生み出されたのだ。

2007年02月25日

ハーレーに適したエンジンオイルの種類とは

ハーレーダビッドソンだけにエンジンオイルが必要なわけではない。

エンジンオイルはエンジンの内部にあるパーツがスムーズに動くようにする為にある。
これがよく知られている潤滑作用だ。
その他の役割として減摩、冷却、防錆、清浄分散などの役割がある。
どれも、ハーレーダビッドソンのエンジンのコンディションを保つために欠かせない。

オイルにもいろいろな種類がある。
オイルは成分によって二つに大きく分けられる。鉱物油と化学合成油だ。
また、粘度によってシングルグレードとマルチグレードに分けられる。


オイルには粘度番号というものがあって、番号が大きいほど粘度が高い、つまり硬いオイルになる。
シングルグレードは、オイルに設定された粘度を示す言葉で、鉱物油か化学合成油かということとは別だ。
シングルグレードっていうのは、その高温時の粘度番号のみをもつオイルのこと。
オイルは熱せられると軟らかくなるが、オイルとしての役割を保つために高温になっても粘度を保つようになっている。

外気温が低くて、エンジンが冷えている時は、オイルも硬い状態で始動性は悪い。
これの対策として考え出されたのがマルチグレードで、低温時の粘度番号を併せ持つオイルだ。

鉱物油と化学合成油の違いは、鉱物油が石油からガソリンを精製した後に残るオイルであるのに対して化学合成油は石油を原料にして科学的に精製したオイルであることだ。
化学合成油はマルチグレードが主流になってから登場したオイルなので、シングルグレードは見かけない。

ハーレーダビッドソンは鉱物油で、特に旧車にはシングルグレードの鉱物油が良いと言われている。

化学合成油は鉱物油と違って、生成の過程で分子の粒をいくらでも細かくできるのが利点で、出回っている化学合成油の分子はとても細かくなっている。
オイルの性能は、分子の粒は細かい方が有利なのだ。
しかし、ハーレーダビッドソンはなどの旧いバイクは、パーツとパーツの間のクリアランス(すき間)が広いから、硬いオイルじゃないと漏れてしまうのだ。

ツインカム88になってからは、ガスケットがメタル製のOリングになるなど、気密性が上がっている為、化学合成油を使用しても問題ない。
エボ以前のハーレーダビッドソンに関しても、現在売られているオーバーホール用のガスケットは、ほとんどが化学合成油に対応しているから、クリアランスを考慮すれば使用できる。
化学合成油の中にも鉱物油の様に浸透性を抑えたものもある。

さらにオイルは品質によってグレードが分かれている。
API(アメリカ石油協会)では耐酸化性などの、いわゆる品質保持性のレベルによって、SA、SBというようにグレードを認定している。
アルファベットが後のものの方が基準が高く、より高いの基準をクリアしたオイルが認定されることに追加されて、今はSHまである。

オイルと添加剤と交換時期

オイルには添加剤が配合されている。
鉱物油も化学合成油も、エンジンオイルとしてのいろいろな作用を発揮できるように、べ―スオイルに添加剤が配合されているのだ。
だから添加剤を自分で新たにオイルに追加する必要はない。
添加剤を使うとある面では性能が向上しても、副作用があったりする場合もある。
たとえば潤滑作用が向上する代わりにオイルか泡立ちやすくなってしまったり、サビが生じやすくなったりするということがあるかもしれないのだ。
一概にはいえないが、添加剤に凝るよりも、いいオイルを選ぶことが大事なのである。

ハーレーダビッドソンのエンジンに良いオイルの条件はやはりハーレーダビッドソンのエンジンの特徴に絞って製造されたオイルだ。
つまり、一番無難なのはハーレーダビッドソン純正オイルと考えられる。
もちろん、エンジンをカスタムやチューンした場合には、ノーマルのエンジンとは条件が変わるから、その状態に合わせたオイルを選ぶ必要が出てくる。

オイル交換の頻度は使用条件や季節で異なるが、オーナースマニュアルに記されている交換時期よりも早いサイクルで交換した方が良い。
新車の場合、最初の500〜800キロ以内に交換して、2回目は1500ロキ走行時、以降は3000ロキことに換える。
コンスタントに距離を乗らない場合でも、オイルが酸化するため最低半年に一度は換えるべきだ。
熱されたエンジンが冷える時、内部に湿気が出るが、オイルはそれを抱き込んで酸化てしまうのだ。
いいオイルでも、劣化したら性能が発揮できないのだ。
オイルは交換せず放っておくと、劣化が次第に進むため、定期的に交換する必要があるのだ。

2007年02月27日

ハーレーにオイルタンクがある理由

ハーレーダビッドソンンンというバイクの特徴の一つにオイルタンクがある。
ソフテイルやスポーツスターは、シート下に大きなタンクがあって、これが外観上の特徴にもなっている。

今のほとんどのオートバイは、ウエットサンプといって、クランクケースにオイルをためておく方式を採用しているが、ハーレーダビッドソンンは、エンジンとは別の部分にオイルタンクを設置して、必要な分だけエンジンに送る、ドライサンプという昔ながらの方式を採用している数少ないバイクなのだ。

ウエットサンプ方式の利点は、パーツ点数を少なくでき、オイルラインがないためメンテナンスが楽なことだ。
これは鋳造技術が進歩したことによって可能になった。

なぜハーレーダビッドソンンのバイクがドライサンプ方式を採用しているか。
それは、オイルをためておく部分を別に作ることによって、クランクケースの構造をシンプルにできるという利点があるからだ。
音はまだ複雑なクランクケースを作れるほどの鋳造技術はなかったため、ドライサンプが主流だった。

ドライサンプ方式の利点は他にもある。レイアウト上、クランクケースを小さくできることだ。
ハーレーダビッドソンンの∨ツインのように少ないシリンダーで大きな排気量のエンジンは、どうしても縦に長くなるため、クランクケースは小さくしたいのだ。
多気筒なら、横に広くなり縦の長さは短くなるから、スペースに余裕ができる。
また、オイルタンクを別にすることによって、エンジン、ミツション、オイルタンクをバラバラの工程でつくり、組み立てることができるのだ。

技術的にはすべて一体化することだってできるのに、この考え方は特別にハーレーダビッドソンンがこだわっている部分と思われる。
特にダイナ系などは、他のバイクのようにエンジンとミッシ∃ンを一体化して、エンジンオイルだけにしてもいい。
しかし強引に別々にしてるように感じられるのだ。
ハーレーダビッドソンがどうしても譲れない部分なのかもしれないし、デザイン重視なのかもしれない。

ドライサンプ方式の利点の一つに、オイルの劣化を防ぎやすいということがある。
昔はオイルの質がよくなくて、熱によって劣化しやすかった。
だから、オイルをためておく部分は、エンジンから離して外に置いておく必要があったのだ。
だから外に置いておけば、冷えやすいからだ。
オイルクーラーを付けれは、オイルの劣化を軽減するためには有効だ。

2007年02月28日

ハーレーがオーバーヒートする本当の理由

ハーレーダビッドソンはオーバーヒートしやすいイメージがあるのではないだろうか。

オーバーヒートするとエンシンか通常以上の高温になって、異常燃焼を起こす状態になる。
オーバーヒートでエンジンが止まる場合には、熱でガソリンが気化して、キャブレターで正常にガソリンと空気の混合気が作られなくなっていることが多い。
この場合、しばらく時間を置けば、再始動できる。
オーバーヒートの状態は、いつ故障してもおかしくない状態と言える。

エンジンの焼き付きは、オーバーヒートの結果として起こる故障の代表例だ。
これは異常燃焼によって生じた煤(スス)などの異物がビストンとシリンダーのすき間や排気バルブまわりなどを埋めて、部品同士が大きな摩擦を起こしてしまうことだ。
エンジンが焼き付くと、大がかりな修理が必要になってしまう。

オーバーヒートの原因はエンジンの冷却不足だ。
エンジンの冷却方法には、大きく分けて空冷方式と水冷方式がある。
空冷方式は走行時にエンジンに当たる風(空気)のみで冷やす方式。
水冷方式は、シリンダーの外側を冷却液の層で包み、その冷却液によって冷やす方式。
冷却液はエンジン内を循環した後、ポンプによってラジエーターに送られ、そこで風によって冷やされ、再びエンジンに送られるようになっている。
まだ、種類は多くないが油冷式といわれるエンジンもある。
油冷式はオイルを冷却媒体として利用する。スズキの一部のバイクに採用されている。
もちろんハーレーダビッドソンは空冷式が多い。

エンジンが、オーバーヒートになるのは、エンジンに風が当たらなくて冷やされないことから始まる。

ハーレーダビッドソンに代表される空冷エンジンは、走行風でしか冷やされない。
渋滞などで、動けい状態で長時間ずっとアイドリングさせていたり、ゴー&ストップを短い間隔で繰り返していると、どしてもオーバーヒートしやすくなる。
そのような状況の時は、エンジンを止めてしばらく待つか、わき道にそれて、エンジンに風を当ると良い。
冷却ファンを付ける対策も効果はある。
ウルトラに乗っている人の多くは、カウルが付いていて、エンジンに十分に風を当てられない為電動ファンを付けている。
ハーレーダビッドソンのエンジンで焼き付きやすい場所はオイルが回りにくい前のシリンダーの後ろ側だから、ファンはそこに向けるのが良い。

オーバーヒートしやすい場合、エンジンに何らかの不調があることが原因となっている場合がある。
その中の1つは他ペット調整だ。
タペットは、シリンダーが熱によって膨張するために生じるプッシュロッドとカムの隙間を調整する。
その調整が間違っているとバルブの開閉タイミングがズレて混合気が圧縮されなかったり、燃焼後の排気ガスがスムーズに排出されなくなる。
キャブレターからエンジンに送られる混合気が薄すぎたり、マフラーが詰まりすぎて残留ガスが残っている為に、エンジン温度があがってしまうのだ。

古いガソリンもオーバーヒートの原因になる。
ガソリンは時間が経つと酸化する。
酸化したガソリンを使うと異常燃焼を起こし、そこで発生したカーボンが熱をため込んで工ンジンの内壁に張り付いてしまうのだ。

中期間乗らないバイクは注意が必要だ。
目安として3カ月以上エンジンをかけていなかったなら、タンクに残っているガソリンは新しいものに交換した方が良い。
古いガソリンはキャブレターや燃料コックなどのゴムを変質させてしまうから、それを防ぐためにも、古いガソリンの交換は有効だ。

過負荷もエンジンがオーバーヒートする原因になる。
エンジンに負荷がかかる原因としては重い荷物を積んでいたり、荷物やカウルで風の抵抗が大きい場合に起こる。
タイヤを太くしている場合にも負荷は高くなる。
負荷が大きくなるとバイクが進もうとしても進まない状態になり、エンジンに負担がかるのだ。
そのような場合には、ボアアップなどでパワーを上げて、ムダな発熱を防ぐのも1つの方法だ。

これらの原因が異常燃焼の原因になり、ひいては焼き付きを起こすことになる場合があるのだ。


もちろんタイヤの空気圧が規定の値になっているかなど基本的な事をチエツクすることも大切だ。

空冷エンジンの欠点は、風の当たっている部分と当たっていない部分ができてしまい、温度にムラができることだ。
つまり、場所によって温度にムラがあると、不完全燃焼を起こして、有毒物質が発生しやすくなる。
また空冷エンジンは外気温などの周囲の環境にも影響されやすい。

レポリューションでハーレーダビッドソンのエンジンに水冷方式が採用された。
水冷エンジンは、ウォータージャケットでエンジンを包んでいるから、ムラなくエンジンを冷やすことができる。
排気ガスの状態を一定に保つには、水冷エンジンの方が優れている。

しかし、空冷であるが故のデザインは変えがたいものがあるのではないだろうか。

ハーレーのキャブレターをカスタムする前に

ハーレーダビッドソンの創始者達がバイクを作り始めたころは、トマト缶を利用してキャブレターを造ったと言う逸話がある。

キャブレターはガソリンを気化させるパーツだ。
キャブレターは、精度が要求される装置だが、仕組みは至ってシンプルだ。
とりあえずオートバイを走らせる程度のものなら、比較的簡単に作れる。

気化したガソリンはエンジンのシリンダーで発生する負圧によって吸い出される。
ガソリンは液体のままシリンダーに送っても、完全にに燃えるわけではない。

ガソリン燃料を燃焼しやすい状態に加工する作業が必要で、その作業をキャブレターが行っている。。
ガソリンは酸素と接する面積が多い方がよく燃える。
だから、キャブレターでは液体のガソリンを細かい粒にして、空気と混ぜて混合気を作る。
キャブレターは霧吹きのようなものだが、粒は細かければ細かいほど良く、ガス状になるのが理想的だ。

キャブレターのしくみはこうだ。
液体や気体は、流れる時、常に体積を一定に保とうとする性質がある。
狭い所を通る時は、その前後に比べて流速が速くなる。
流速が増すと、分子と分子の間が空いて密度が下がる。
密度が下がると、圧力が下がる(負圧が生じる)。
キャブレター内の空気の通り道は、一部分が狭くなっている。この場所をベンチュリーと言う。
エンジンに空気が吸い込まれるとき、ベンチュリーで気圧が下がるようになっている。
キャブレーターのフロート室と呼ばれる部分にガソリンを溜める。
フロート室はガソリンを一定量溜めるためにフロートと呼ぶ浮きがあり、決まった分量のガソリンがガソリンタンクから入ってくる。
フロート室からは、管が伸びていて、ベンチュリー部に通じている。
ベンチュリー部の気圧が低いので、ガソリンはフロート室から吸い上げられる。
穴から出る時に、ガソリンは流れる空気と衝突して、細かい粒になるのだ。

キャブレターには混合気を作ることと共に、スロットルと連動してエンジンの出力をコントロールする役割もある。
スロットルを開けると混合気の供給量が増えてバイクは加速することができる。
この部分をスロットルバルブと言う。
スロットルバルブは、シリンダーに吸い込まれる空気の量を制限している。
アクセルを開け、制限を緩めると、流れる空気の量が増える。
すると同時に空気に混じるガソリンの量も増えるのだ。


現在ではキャブレターにもいろいろな方式がある。

ハーレーダビッドソンのキャブレターにはリンカート、チロットソン、ベンディツクス、そして日本製のケーヒンなどメーカー様々に変遷してきた。
方式としてはパタフライスロットルタイプと呼ばれるものだった。
弁の開閉が蝶(バタフライ)の様に見えることから名づけられた。
この方式はキャブレターの原点といえるもので、基本的にガソリンが吸い出されるメインポートと楕円形のスロットルバルブでできているシンプルな構造のキャブレターだ。
今でもS&Sのキャブレターはこの方式を採用している。

現在のハーレーダビッドソンにはC∨キャブが採用されている。
ケーヒン製のC∨キャブは、負圧可変ベンチュリータイプと呼ばれる方式のもので、これが採用されたのは88年からだ。
最初にスポーツスターに採用され、翌年からビッグツインもこのキャブになった。

負圧可変ベンチュリータイプと呼ばれるキャブレターもある。
メインポートが設置されているベンチュリーという場所は、その前後よりも内径が狭くなっている。
バタフライスロットルタイプはこのベンチュリー部の径は変化しないが、負圧可変ベンチュリータイプはスロツトルを開閉すると、エンジンの吸入負圧によってベンチュリーの径が自動的に変化するようになっている。
ベンチュリーの径を変化させることによって、低速時、中速時、高速時の各状況に応じた空気の流入量、つまり混合気の量に調節できる。
この方式の利点は、負圧、つまり工ンジン自体の要求に応じて混合気の量が自動的に調節されるため、低速から高速までスムーズに回すことができることだ。
ハードなアクセル・ワークでも、エンストすることなくエンジンが回ってくれる。
欠点は、アクセルを開けてから負圧が生じるまでに間があるため、スロットルに対するダイレクト感が弱くなることだ。

強制可変ベンチュリータイプのキャブレターというのもある。
強制可変ベンチュリータイプのキャブレターはダイレクト感を味わえる。
ベンチュリー径を調節するパルブとスロットルが直接連動している。
その代わりこの方式のキャブレターは、スロットルの反応がシャープなので、C∨に比べて気を使う。

キャブレターのチューンは、端的にいえば、混合気におけるガソリンと空気の割合(空燃比)を、理想の状態に近づけていくことだ。
キャブレターには、アイドリング時、アクセルを1/4開けた時、3/4ぐらいまで開けた時、全開にした時のそれぞれをつかさどる回路がある。
これらについて、どの部分で濃く、または薄くしたらいいのかについて、パワーカープを見たり、実際に走らせたりして、調節していくのだ。
ノーマルのマフラーを付けている状態なら、特にチューンする必要はない。

ただし、ノーマルのキャブレターは、混合気中のガソリン濃度がかなり薄いセッティングになっている。
排気ガス中における有害物質をできるだけ少なくするためだ。
ノーマルのキャブレターは、排気ガス規制をクリアするために薄くしてあるのだ。
濃いと、燃焼しきらないガスが多くなってしまう。
本来は、多少濃い方が、シリンダー内の温度が上がりすぎないので、エンジンにとっては具合がいい。
濃すぎると完全に不完全燃焼になったり、プラグがカブってしまう。

排気効率のいいマフラーに換えると、ノーマルのキャブレターの調整ではガソリンがさらに薄くなってしまい、エンジンによくない。
マフラーを換える時には、それに合わせてキャブレターもチューンした方がいい。
エンジンの吸気と排気はセットで考えなければならないのだ。

混合気がシリンダー内で燃焼した後のガスは、エキゾーストパイプを通じて外に排出される。
排気ガスがいつまでもシリンダー内に残っていたのでは、次の燃焼がきれいに行われないから、速やかに外に出ていってもらわないといけない。
しかし、だからといって、速く出ていけば速く出ていくほどいいのかというと、そういうわけでもない。
エンジンが快調に動くためには、キャブレターで作られた混合気をきれいに燃焼させて、燃焼させた分だけ排気するのが理想的。
ところが、排気する部分だけ突出していたら、吸気の方が追いつかなくなってしまう。
すると混合気が足りなくなってしまう。
つまりガソリンが薄くなるわけだ。

キャブレターがノーマルのセツティングの状態で、マフラーのみ排気効率のよいものにすると、シリンダー内の空気が多く排出されて、ただでさえ薄い混合気がさらに薄くなってしまう。
これでは力も発揮できないし、シリンダー内の温度が高くなりすぎて、エンジンを傷めることにもなるのだ。
だから、マフラーをノーマルのものよりも排気効率のよいものに換える場合は、キャブレターもそれに合わせて、混合気をたくさん作ることができるようにしなければならない。
同時にエア・クリーナーも、よリスムーズに空気を通すようなものに交換する必要がある。

キャブレターをチューンするのはガソリンの通路にあるジエツトと呼ばれる部品の口径を違うものに変えたり(番手を変える)、ビストンバルブまわりのパーツを交換する。
ノーマルのC∨キャブレターの場合は、ダイノジェットというチューンナップ用のキットも出ている。
ノーマルのキャブレターでも、チューンすることで、ほとんどのマフラーに対応できる。
しかし、さらにそれ以上のパフォーマンスや、ノーマルのキャブレターでは出せない味を求める場合は、キャブレターこと他のものに交換するということになる。

キャブレターのチューンやセッティングは通常の工具さえあれば、誰にでもできる。
ただし、アクセルの低速時から全開時までスムーズに加速するように、マフラーとのバランスを取りながらセッティングを出すのは非常に難しい。

最初は信頼のおけるショップのアドバイスを受けた方が良いだろう。