ハーレーのトランスミッションは増え続けている
ハーレーダビッドソンのエンジンの回転数と同じスピードでいきなりタイヤが回転したら大変なことになる。
エンジンの回転は速いのだ。
エンジンの回転数は、一次ドライブと二次(ファイナル)ドライブによって減速される。
現在のハーレーダビッドソンの場合、一次ドライブがプライマリーで、二次ドライブがドライブ・ベルトだ。
そしてさらに、状況に応じて減速比を変えられるようにするのがミッションの役割だ。
ミッションは一次ドライブと二次ドライブの間にあって、自転車と同じように、大きなギアから小さいギアに変えていくことで、減速比を1に近づけていく。
一番大きなローのギアは、テコの原理によって、1回転当たりの力が最も強い。
だから大きな力(トルク)を必要とする発進時に使われる。
走り出して車速が上がると、セカンド、サードというように小さいギアに変えて、力よりも速度を稼ぐのだ。
バイクのミッションの構造はどれもそれほど変わりは無い。
ただ、ハーレーダビッドソンのビッグ・ツインのミッションは、エンジンと別体になっているところが他のオートバイと大きく異なる点だ。
ハーレーダビッドソン以外のバイクも、昔はミッションを設計するメーカーとエンジンを設計するメーカーが別の場合が多かったから、ミッションとエンジンは別体なのが普通だった。
ミッションがエンジンと別体になっていると故障した時もミッションだけ外してオーバーホールや交換することができるから便利だ。
今のバイクのミッションは昔と比較しては信頼性も上がり、別体にする必要はなくなってきている。
この部分も、ハーレーダビッドソンは昔ながらのスタイルを採用し続けているところだ。
ハーレーダビッドソンのミッションは2007年モデルから6速になっている。
ハーレーダビッドソンは30年代のサイドバルブ・エンジンを載せたビッグツインのころからずっと4速だった。
サイドカーでは3速+バツク・ギアというものもあった。
ハーレーダビッドソンが5速ミッションを採用したのは、ビッグ・ツインに関しては79年のFLTツアーグライドが最初で、84年からほとんどの車種に、スポーツスターは91年から採用された。
ハーレーダビッドソンが4速から5速、6速と変更になってきたのは、高速化するのにオーバードライブなギア比がほしかったという理由だ。
オーバードライブとは、ギヤ比1.0以下のギヤを持つ変速機。
このオーバードライブギアを使うことによって、低いエンジン回転数でも高速で走行することができる。
低いエンジン回転数でも高速で走行するには二次減速比を変えるという手段もある。
しかし、ただ単に高速化するだけなら二次減速比を変えてもよいが、4速のままではシフトダウンによるミッションやエンジンに対する負担が大きい。
それを軽減するために、クロスレシオ化したのだ。
クロス・レシオ化とは単純に言えば、ギア間のビッチを小刻みにすることだ。
□―とトップの回転数が同じだった場合、5速の方が4速よリピッチが細かくなる。
ピッチが異なるとシフトアップしていくときの加速感が違ってくる。
ピッチが大きいと、一回ギアチェンジするたびに大きく回転数が落ちるのだ。
それぞれのギアを使う時間が長くなり、加速時にはある意味ダイナミックな感じが楽しめるが、スムーズさには欠ける。
反対に、減速のシフトダウンの際には、回転数が上がりすぎて、反動がかかってしまう。
チューニングでクロスレシオ化する場合もある。
例えば高性能のスポーツバイクの場合、エンジンの回転数をできるだけ落とさないようにするためにクロスレシオ化する。
レースでは高速域しか使わないから、下の方のギアは無視して、高回転をキープできるようなギア比を選ぶのだ。
実用向きのオートバイでは、重い荷物を積んで走ることが多い場合は、下のギアを使う頻度が多くなるから、そこでの使い勝手がよくなるように、1速と2速を近づけたりする。
こうしたミッションの減速比の設定は、エンジンの出力や車体の状況、どういう道をよく走るのかということなどから考えて割り出される。
ハーレーダビッドソンも5速になって以来、よリスポーツ的な目的で使われることも多く、チューニング用のギアもそれまでより多様になって、セッティングの幅も広がっている。