ハーレーダビッドソンのクラッチが硬いのは?
ハーレーダビッドソン以外のバイクを含め、クラッチの方式にはいろいろな種類がある。
大きく分けると乾式と湿式、単板式と多板式に分類できる。
クルマの場合は乾式単板式が多く、オートバイでは湿式多板式が一般的だ。
クラッチは方式にかかわらず、基本的にフリクション・プレートとスチールプレート(クラッチ・プレート)、そしてそれらを押し付けるプレッシャー・プレートといった円盤で構成されている。
単板の場合は、フリクションプレートとスチールプレートの接する面積が非常に大きく取れ、圧力も大きくできるから、重いものを引っ張るのに適している。
反面、スペースを大きく取られるので、バイクには向いていない。
多板式は多くの板を使うことで外径自体は小さくしつつ、接する面積を大きくできる点でバイク向きと言える。
抵抗が少なく、少しずつスムーズにつなぐことができる。
乾式と湿式の違いは、乾式が空気によって冷却し、また摩擦で生じるプレートのカスもその空気で吹き飛ばす方式。
湿式は、オイルの中に浸すことで、オイルによって冷却し、プレートを洗浄する方式だ。
乾式のメリットは冷却効果が湿式よりも良く、圧着率がいいから、スプリングを強くしなくてすむ。
だからクラッチ操作を軽くできるのだ。
乾式は走って風をよく当てないと、カスが残って張り付きが起こりやすい。
また外部に露出しているから騒音も大きくなる。
乾式はレーサータイプのバイクに採用されているが、一般的なバイクには湿式が採用されている。
ハーレーダビッドソンも湿式多板式だ。
以前のハーレーダビッドソンは「半乾式多板式」という非常に珍しい方式を取っていた。
スリップしたかと思うと食いついたり、といったジャダリング現象があり84年からは湿式になった。
プライマリーとミッションケースが一体化されているスポーツスターの場合は、73年から湿式を採用していた。
ハーレーダビッドソンのクラッチは重い。
それはプレッシャー・プレートのスプリングが硬いからだ。
クラッチがスリツプしないように、硬く作られているのだ。
アメリカで多い、長距離を荷物を積んで二人乗りするような状況を想定してあるのだ。
アメリカでは道路も長く一端繋いだら、半クラッチを使うことはあまりない。
だから軽さを意識する必要も、それほどないのだ。
日本の場合は、頻繁にクラッチ操作をする状況が多い。
もちろん、スプリングを軟らかくすれば、軽くなる。
日本では頻繁にクラッチ操作をするが故にアメリカとは違う意味でクラッチヘの負担が大きい。
だからクラッチがヘタリ易いのだ。
クラッチが重くて困る場合はスプリングには手を加えず、テコの原理でスプリングを押せるパーツなどを利用すると良い。
クラッチは消耗品だ。
使っているうちにヘタって、滑るようになってくる。
そうした状態のままで乗っていると、適切なタイミングで動力が伝わらないことで、エンジンやミッションに負担もかかる。
滑るようになってから交換するのではなく、タイヤと同じように、定期的に消耗の度合いをチェックして、ある程度消耗したらまだ使えたとしても交換すると良い。
燃費も向上するし、フィーリングもよくなる。
クラッチの負担を減らすためには、プライマリーオイルを適度に交換すると良い。
ハーレーダビッドソンの場合、プライマリー・チェーンを潤滑し、クラッチは滑らせないという特殊なものなので、必ず専用のオイルを使う必要がある。
クラッチケーブルのメンテナンスも大切だ。
グリスアツプし、交換する場合はワイヤーの取り回しを考えて、ムリなカープをつけないようにする。
クラッチケーブルが錆びているとただでさえ重いクラッチがますます重くなってしまう。