ハーレーのフロントフォーク(レイクとトレイル)
バイクのフロントフォークは、まっすぐではない。
寝かされているのだ。
ハーレーではツーリングモデルが最も立っていて、V−RODが最も寝ている。
バイクにはタイヤが2個ある。
フロントのタイヤはまっすぐに走っているように見えて、実は常に左右にバランスを取りながら、微妙に蛇行している。
バイク自身が自分でバランスを取って、自己補正しているのだ。
この自己補正機能は、「キャスター角」と「トレール」が非常に影響している。
キャスター角がついていることで、バイクには傾いた方向にステアリングが切れて、進もうとする方向にフロントタイヤを向ける働きが生まれる。
キャスター角のために、タイヤが地面に接する点が、ネック(ヘッドバイプ)の中心線の延長線が地面と交わる点よりも後ろになる。
この2点の距離がトレールだ。
タイヤの接地点は、ネックの中心線の延長線が地面と交わる点に引っ張られている。
この引っ張る力が、タイヤをまっすぐ前に向けようとする方向に作用する。
キャスター角とトレールが作用し合って、バイクをまっすぐ前に進めるように補正しているのだ。
キャスター角が大きいほど、つまリネックが寝ているほどトレールも大きくなり、自己補正機能も強くなり、直進時の安定性が増す。
ハーレーのキャスター角は、他のバイクと比べて直進安定性を重視した設定になっている。
キャスター角が大いのだ。
ハーレー広大なアメリカで長距離を走るために造られたバイクだから、直進安定性を重視するのは当然かもしれない。
チョッパーやドラッグレーサーは、フロントフォークをさらに寝かている。
直進安定性をもっとよくするためだ。
長距離を走るアメリカで、例え手放ししてでも走れるようにトレールを増やしていたのだ。
フロントフォークを寝かせるには、ネックを寝かせてキャスター角を大きくする方法と、トリブルツリーを換えて寝かせる方法がある。
ネックを寝かせれば、トレールが増えて、オートバイの自己補正性、つまり直進安定性が増す。
しかしその反面、限度を超えると、八ンドルをまっすぐにしている時と、切った時との車高がかなり違ってくる。
八ンドルを切った時は、まっすぐにしている時に比べてフロントの車高がかなり下がるのだ。
低速で走行中、曲がろうとする時、車重の位置エネルギーが、八ンドルを過剰に切れ込ませる方向に働いてしまい、かえって不安定になってしまう。
ネックを寝かせると、八ンドルの切れ具合が同じでも、実際にフロントタイヤが路面上で切れている、いわゆる実舵角が減っていく。
だから回転半径が大きくなってしまう。
キャスター角を1度寝かせただけでも、実舵角は大きく違ってくる。
トリプルツり―を換えて寝かせるとフロントフォークのオフセット量を増やすことになる。
フロントフォークのオフセット量を増やすことは、トレールを減らすことにつながる。
つまり直進安定性は犠牲になる。
フロントフォークの角度はついても、八ンドリングは軽くなり、旋回性は上がる。
やりすぎると、車速が上がった時や、クイックな切り返しをする時に、不正確な動きが八ンドリングに表れてしまう。
フロントが暴れたり、接地感がなくなったりして危険なのだ。
バランスを上手く取ることが大切なのだ。
派手な走りをしないなら、ネックを寝かせている、つまリキャスター角がついているものを、さらにトリプルツリーでわずかに寝かせることは、相殺し合って、比較的ニュートラルな八ンドリングを得られることもある。
∨ロッドのキャスター角とトレールはそのような設定だ。
フロントフォークの角度を寝かせるのにも限りがあって、3度から5度ぐらいが一般的に走れる限度と言われている。
キャスター角やトレールは、1度違っただけで八ンドリングに大きな影響を与える。
カスタムをする際はバランスを考えられるメカニックが必要だ。
フロントフォークを寝かせるのと同時に、フォークを伸ばすのもチョッパーでは定番のカスタムだ。
フロントフォークを伸ばすことも寝かせることも、目的は同じで、互いに密接な関係がある。
フロントフォークを伸ばせばフレームの前が持ち上がって、ネックを寝かせるのと同じことになる。
フレームと一緒にエンジンの位置も上がって、重心が高くなってしまうから、同時に寝かす必要もある。
逆に、ただ寝かせるだけでは車高が下がりすぎてて、バンク角が浅くなってしまう。
それを防ぐには、フォークを伸ばす必要があるのだ。
最近では操作性を考慮して、ネック部分のみを持ち上げて寝かすという手法も登場している。