ハーレーの点火系を知る。
ハーレーダビッドソンのエンジンは4ストロークエンジンだ。
吸気、圧縮、爆発、排気の4工程を繰り返している。
点火系は混合気が圧縮された時に、適正なタイミングと着入力でプラグに火花を飛ばして、爆発させる。
点火システムは、大まかな構成要素として、プラグに大を飛ばすタイミングを計るコンタクト部、回転数に応じてそのタイミングを調整する進角部、そしてプラグに火を飛ばすイグニッションコイルといったものから成り立っている。
イグニッションスイッチがオンになっている状態で、バッテリーの電気は、イグニッションコイルの中を通ってコンタクト部まで常時流れている。
コイル内部には、1次(プライマリー)コイルと2次(セカンダリー)コイルの2つがあって、電気が常に流れているのは1次コイル側だ。
そして適正な時期がくると、コンタクト部において電気は突然遮断される。
するとコイルの電圧が一気に上がり、プラグに接続されている2次コイルに誘発電流が流れ、プラグがスパークするのだ。
つまり火花を飛ばしたい時に接続するのではなく、逆に遮断することで電気がプラグに行くのだ。
電気を遮断するタイミングを計るために、コンタクト部はカムシャフトやクランクの回転と連動していて、クランクがちょうど良い位置に回転した時に合図を送るようになっている。
しかしエンジンの回転が上がると速いタイミングで火花を飛ばさないと間に合わなくなる。
これを進角と言う。合図を送る位置を手前にすることから、「角度を進める」という意味で、この言葉が使われている。
点火システムにも、いろいろな種類がある。
ハーレーダビッドソンに最初に採用されたのは65年の最終型パンヘッドまで使われた、ポイント点火で、進角は手動式だった。
ポイント点火式は接点があるため、その部分が消耗してしまったり、プラグに飛ばす火花が小さいという欠点があった。だから今のバイクにはあまり採用されていない。
当時はガソリンの質が悪かったため、ノッキングを起こした。、ノッキングは不完全燃焼によって起こるからだ。
そこで、エンジンに負担がかかった時には進角を落とす必要があったため手動で進角を調整する方式になったのだ。
66年から78年までのショベルヘッドになると、手動ではなく、ガバナーという装置を利用した自動進角式のポイント点火になった。
そして79年になって、フル・トランジスタ点火が採用された。
80年にはデジタル進角になった。
センターから信号を受け取って、あらかじめブログラミングされたデータに従って、点火時期を制御する方式で、モジュール点火とも言う。
ハーレーダビッドソンの場合には、このシステムに「∨ファイヤ」という名前が付けられた。
∨ファイヤ以後は、エボリューションもツインカム88にも、この方式が採用されている。
他にも独立点火と同爆点火という分類もある。
一つのシリンダーに対し、一つのコイルを使うのが、独立点火=シングル・ファイヤー。
これに対し、すべてのシリンダー、つまりハーレーダビッドソンなら前後二つのシリンダーのプラグに一つのコイルで火花を飛ばすのが、同爆点火=デュアル・ファイヤーだ。
ハーレーダビッドソンでは62、63年の2年間だけ独立点火を採用したが、1気筒につきプラグが1本の場合、二つのコイルの個体差が八ッキリ表れてしまい、中低速で爆発が安定しなかったため不採用になった。
スポーツスター1200Sは93年モデルから03年モデルまで、独立点火が採用されていた。
圧縮比が高いスポーツスター1200Sのエンジンは、1気筒当たりのプラグを2つにする必要があった。燃焼室の構造を考えて完全燃焼をさせるためだ。前後2本ずつ合計4本のプラグを1つのコイルでまかなうのはキビシイので、この場合は独立点人の方が効率的だと考えられたのだ。